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消す

静電気は産業の現場のいたるところで発生していますが、その対策として静電気除去装置(イオナイザー)が市販され、活用されています。しかしながら、現場に行ってイオナイザーの活用状況を調べてみると、イオナイザーの選択を間違っていたり、使い方を間違っていたりすることがありました。また、市販のイオナイザーでは除電することが困難な状況もありました。このような問題を解決しようとするテーマ群です。

​新しいイオナイザー評価法

イオナイザーは正負のイオンを気流にのせて対象物に吹き付けるもので、その性能を評価する方法には規格があります。しかし、それは所定の大きさの金属プレートが1000Vから100Vまで除電される時間を測定するもので、現在要求されている数十数Vまでの除電に適応できるかどうかについては問題が残ります。また、通常の製造ラインでは動いている物体に対してイオナイザを用いるので、規格で決められている除電時間が分かっても、現場でどのようにイオナイザを設置すれば十分な除電ができるのかの指針は得られません。そこで、動いている物体の除電にも適用できる、低電圧用イオナイザ評価法を開発しました。この評価法は、イオナイザーを評価するだけでなく、そのイオナイザをどのように使えば、十分な除電が可能かについての指針を得ることのできるものです。現在は、現場での活用法について検討しています。

EFD型イオナイザの開発

帯電した物体を数V以下まで除電するには、イオナイザのイオンバランスを高いレベルで調整する必要があります。本研究では、特殊な電極構造を有するイオナイザ(EFD型:Electric Field Driven)を開発し、特許を取得しました。これは、対象物とイオナイザ本体との間に形成される静電界によって、必要な極性のイオンが必要な量だけ供給される構造となっており、イオンバランスの調整が不要で1V 以下までの除電が可能になっています。除電が可能な場所の面積が小さいため、限定された場所の除電には向いています。パーツフィーダの除電には効果を発揮しています。また、この除電能力を応用した機器(静電ハンドリング)の研究も行っています(「つくる」を参照)。

気流アシスト型自己放電イオナイザの開発

物体が帯電していれば、周りに電界が形成されますので、避雷針のように尖った接地電極を近くにおいておけば、放電が発生して除電できる可能性があります。完全な除電は必要なく、人体に害がでないレベルで十分な場合は、電圧を印加して正負のイオンを発生させる、高価なイオナイザではなく、単に接地した電極を置くだけのイオナイザでも効果が現れます。また、このような自己放電型イオナイザは、放電電流を測定すれば、帯電量をモニタリングすることもできます。したがって、帯電状態をセンシングしながら静電気を消したい用途に向いています。本研究では、このような自己放電型の特徴を活かすため、より効果的に除電が可能な気流アシストを行う方法について検討しています。

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